フェルナンドのこと [愉快な仲間たち]
イタリア人。19歳。中肉中背。有り余るエネルギーで自家発電できそうに元気溌剌。
彼の家には空っぽの水槽が置いてあった。
――ほら、ちゃんといろんな装置も買ったんだよ。明日にでも熱帯魚を入れて、リビングに小さなオアシスを作るんだ。ああ楽しみだなぁ。
そう興奮気味に語っていたのは、たしか先々週のことだっただろうか。
「そういえば、お魚たちは元気なの?」
何気なく訊ねる。
「それが…」
口ごもる彼。
「元気ないの?」
「いや…もうみんな死んじゃったんだ。買った次の日に」
「うそ?!水が冷たすぎたとか、だったのかな?」
「なんていうか…」
「なになに」
「なんか、お店の手違いで…」
「うん」
「うちの魚、ピラニアだったみたいなんだよね」
「……」
癒しのオアシスになるはずの水槽で、繰り広げられてしまった殺戮の一夜。
爽やかに目覚めた彼の目に飛び込んできたのは、血しぶきに染まったガラスの箱だったのね。
ああ。
哀れな彼ら(お魚含む)に合掌。
彼の家には空っぽの水槽が置いてあった。
――ほら、ちゃんといろんな装置も買ったんだよ。明日にでも熱帯魚を入れて、リビングに小さなオアシスを作るんだ。ああ楽しみだなぁ。
そう興奮気味に語っていたのは、たしか先々週のことだっただろうか。
「そういえば、お魚たちは元気なの?」
何気なく訊ねる。
「それが…」
口ごもる彼。
「元気ないの?」
「いや…もうみんな死んじゃったんだ。買った次の日に」
「うそ?!水が冷たすぎたとか、だったのかな?」
「なんていうか…」
「なになに」
「なんか、お店の手違いで…」
「うん」
「うちの魚、ピラニアだったみたいなんだよね」
「……」
癒しのオアシスになるはずの水槽で、繰り広げられてしまった殺戮の一夜。
爽やかに目覚めた彼の目に飛び込んできたのは、血しぶきに染まったガラスの箱だったのね。
ああ。
哀れな彼ら(お魚含む)に合掌。
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