ドレスの話。 [ファッション&ビューティー]
ピアニストのお仕事をさせていただいている中で、かかせない物。
その必需品のひとつに、舞台衣装があります。
コンサートの場を華やかに演出し、お客様に非日常感を楽しんでいただくために、また、今から演奏する作品の世界観を視覚的に演出するために、ドレス選びは、侮れない非常に大切な要素なのです。
大学時代、尊敬する恩師S先生のレッスンに通っていた時の、 忘れられないエピソードがあります。
当時、取り組んでいた曲はプロコフィエフの戦争ソナタ。タイトル通り、戦争に触発されて書かれた、怒りと悲しみ、混沌と破壊を表現した言わずと知れた名曲ですが、、、
その時の私は18歳。好きなものはピンク、フリル、リボン。
ということで、お気に入りのヒラヒラのワンピースを着てレッスンに行ったわけです。
そんなピンクのおリボンをつけた私が、プロコフィエフの拠り所のない不安感や殺戮の凄惨さを表現できる訳もなく。
「本気で曲に向き合っていたら、それを弾こうという日にまずワードローブからそんな洋服を選ぼうと思わないはずよ」
先生から言われた一言に、はっとしたことを覚えています。
モーツァルトの透明感。
ショパンのたおやかさ。
ベートーヴェンの激情。
儚さ、力強さ、妖艶さ。
希望、絶望、喜び、悲しみ。
……そういった様々なキャラクターや感情を表現する中で、衣装が大きな役割を担っていることは、フィギュアスケートなどの競技を見てもお分かりいただけるかと思います。
と、前置きが長くなってしまいましたが。
今日はそんな私の舞台衣装を一部ご紹介させていただきたいと思います
Tadashiのシフォンドレス。
シンプルですが、繊細なドレープ使いが気に入っています。
こちらもTadashi。上半身のレース使いと光沢のある生地が美しいドレスです。
BCBGmaxazriaのボルドーのベアドレス。
これはくるくる丸めても持ち運んでも全く皺にならないので、海外でのコンサートの時にも重宝しています。
こちらもBCBG。鮮やかなブルーカラーが爽やかな印象。
プラウドのCMに出演させていただいた時にも着用しました。
こちらはグレースコンチネンタル。可憐な雰囲気。
シューマンの子供の情景を演奏した時に着用しました。
こちらはザルツブルグのドレス屋さんにて購入したお気に入り。
このショップには驚くほど安く、素敵なデザインの物が沢山あって、夏の音楽祭でザルツブルグを訪れる際には必ず寄っていました。
デザインだけでなく、演奏のしやすさも考えなくてはならないので、
・腕が自由に動かせるデザインであること。
・すれて痛くならない生地であること。
・呼吸をさまたげないフィット感。
などなど、こだわりたい部分もあり、これぞ!という一着を見つけるのはなかなか大変だったりします。
衣装は、音楽をより豊かに、鮮やかに彩ってくれる、私たちの大事な仕事道具。
今後も素敵な一着との出会いがありますように。
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