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モーツァルト協会コンサートを終えて [音楽ばなし]

先週の土曜日にあったコンサート「若き音楽家の夕べ」のご報告です♪

この前のメニューインユースのコンクールで優勝し一躍有名になった、天才ヴァイオリニスト郷古廉くんとの共演で行われた今回のコンサート。モーツァルト協会主催、しかもモーツァルトの誕生日である1月27日の開催ということで、モーツァルトのヴァイオリンソナタkv.301、305をメインに、その他パガニーニのカンタービレ、ラ・カンパネラ、私のソロでドビュッシーのプレリュード第二巻より1~6番、アンコールにタイスの瞑想曲とモーツァルトのアベヴェルムコルプスというプログラムで演奏させていただきました。

当日は立ち見が出るほどたくさんのお客様に来て頂き、会場は熱気むんむん!
今回は私メインのコンサートではなかったにもかかわらず花束を持って駆けつけてくださった知り合いの方もたくさんいらっしゃって、皆様の暖かいお言葉と声援が本当に嬉しかったです。
改めて、どうも有難うございました。

さてさて、演奏の方はというと、いろいろと反省点や今後の課題となる部分もあったものの、全体的に成功だったのではないかと思います!郷古くんと共演させていただいて、彼の若々しさフレッシュさに私自身かなりの刺激を受けましたし、いつもとは違った新鮮な気持ちで舞台に上がることができたのは、かなり大きな収穫でした。
また、彼とのリハーサルを通じて、楽譜に忠実であることの重要性や、しっかりした基礎の上にのみ音楽が成り立つことを再確認し、若干13歳にしてプロ意識を持ち、真摯に音楽と向き合っている彼の姿勢は、なんだか忘れていた大切なものを私に思い出させてくれたような気がします。

必要以上にひけらかさず、作曲家の意図に忠実に、真摯に、そして自然に。

今回のショパンコンクール優勝者のブレハッチにしろ、最近はこういう路線の音楽家が評価を受ける風潮が訪れているようで、本当に喜ばしい限り!

音楽家にもいろいろと系統があります。
とにかく派手でものすごいテクニックでもって人々を圧倒させるタイプもいれば(家では、こういうタイプの演奏家は、かのサーカスにちなんで「ドラリオン路線」と呼んでいます)、ちょっとメカニックは弱い部分もあるけれど叙情的で音楽的なタイプ、緻密に計算された音楽の、知的でバランスのよいタイプ、またレアなタイプとしてキーシンのような完璧タイプやアルゲリッチのような情熱型天才、ホロヴィッツのような神がかったタイプなんかもいるわけですが、この「ブレハッチ路線」は、今までいるようでなかなかいなかったタイプなのではないかと思うのです。
素朴で一見垢抜けないようにも見え、特にものすごい得意技やテクニックを持っているわけではない。けど、しっかりとした基礎力でもって清潔にきっちりと音楽を作り、そして、本当に真摯にその曲と向き合う。自分をアピールするより前に、「音楽」を奏でようとする気持ちがあるからこそ、そこから紡ぎだされる自然で美しい音は、無意識に人々の心を打つのではないかと思います。
人々を楽しませ、圧倒させたりする事も音楽家の仕事のひとつとして間違ってはいない。でも、耳を塞ぎたくなるような重苦しく悲しい事件が多発するここ最近の社会で、もしかして今一番我々音楽家に求められているものは、純粋な音楽の感動を伝えることなのかもしれないなぁ…と、ふと思ったりするのです。

まぁ、ドラリオンになるにはメカニックが足りず、アルゲリッチやホロヴィッツは目指そうと思っても到底無理だという現実的な背景も、私がブレハッチ路線を好きな理由のひとつでもあるのですが…(笑)


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グルダとハスキルが好きです。
by (2007-02-05 22:53) 

スザンナ

音楽への向かい方 っていつもいろいろ考えてしまいます。
とっても参考になりました。ありがとうございます♪
ピンクのドレスがとってもチャーミングです~♡
by スザンナ (2007-02-06 11:10) 

yukirdam

>gonさん
グルダとハスキルもいいですよね!音楽家も、いろいろなタイプがいるからこそそれぞれの良さが引き立つんでしょうね。

>スザンナさん
音楽への向かい方、私も悩み続けて、未だ答えは出てないです。「楽しむ事こそ音楽の本質」という考え方も、「本気で取り組んで、時には苦しい思いもしなければ本物の音楽は作れない」って考えも、どちらも正しいと思うんですよね…。
このドレスは、配色がはっきりしてるのでけっこう舞台映えしてお気に入りなのです♪褒めていただけて嬉しいです☆
by yukirdam (2007-02-06 19:20) 

トスカ

気負いせずに作曲家の作った音楽を音にできることって、すごいことですよね。アシュケナージがそのタイプだと思います。
とりあえず私は斜め上を行く知性派のグールドも推しておきますね。
by トスカ (2007-02-08 19:08) 

yukirdam

>トスカさん
なるほど!アシュケナージは確かに正統派の元祖ですね♪
グールドもこれまた他にはいないタイプの天才ですよねぇ。。
今度、音楽家のタイプ別に表とか作ってまとめてみたいものです 笑
by yukirdam (2007-02-09 18:28) 

ハル

はじめまして!
イキナリですが、郷古くんと演奏してた方ってyukirdam さん
だったんですね!!ゎたしその演奏会行きたかったんですヶど
知ったのが遅くて・・・ゎたし郷古くん大好きなんです♪
郷古くんと演奏できたなんてぃぃなぁ
by ハル (2007-02-10 22:06) 

yukirdam

>ハルさん
はじめまして^-^ 仙台の方でらっしゃるんですか?
廉くんは、本当に既に素晴らしいヴァイオリニストですよね♪
将来が今からとっても楽しみ! また今月24日にメディアテークでコンサートがあるみたいですよ~~(私はちょうど東京で行けないのですが…><
by yukirdam (2007-02-11 01:57) 

ハル

はぃ!!仙台です!!
メディアテークも行きますょ♪
by ハル (2007-02-12 20:26) 

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